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無期転換制度の適用開始迫る

平成30年4月から契約期間の更新をして5年経過する従業員が無期契約の申し込みをすることが可能となります。
無期契約の申し込みを行った対象労働者に対し、会社はこれを拒むことはできないのです。

よって、4月以降の転換制度を設ける必要がであります。
皆様の会社は無期転換制度に向けた準備はお済みでしょうか?
まだこれからという方は、すぐに手を付けなければならないですよ。2018年4月には対象者が出る可能性がありますので

1-1.無期転換制度の手順から確認
1-2.その他に、無期転換後の労働条件等で検討することは
1-3.定年後の特例について

1-1.無期転換制度の手順から確認

それでは、何から始めたらよいでしょうか?
まず行うものは対象者の洗い出しです。
続いて、転換制度を利用したときに待遇や、職務の分担、責任などをどのようにするか決定することです。
これらについて、就業規則を変更する必要がでてくることが考えれらます。

では、転換制度を利用した場合にどのようなパターンが考えられるでしょうか?

①単に契約期間のみを変更する
②契約期間とともに働き方も変更する(仕事の責任や、転勤・配置転換、残業の有無など)
③正社員へ転換する(正社員の転換制度を利用する)
④限定正社員への転換制度を新たに作成する(例えば、週4日1日6時間勤務の正社員)

そのパターンを採用するか検討する必要があると思います。
また、就業規則の作成についてもいくつかのパターンをが考えられます。

①正社員用とパート用の2つを作成し、正社員用からは無期契約者を除く条文を加え、パート用に無期契約者の条件を記す
②正社員用とパート用に加え、無期雇用者用に規則を作成する

上記の2点について方向性を決めたうえで、詳細な中身を考える事となるでしょう。
特に、検討が必要となるのは定年制・休職・懲戒に関することでしょうか。

無期転換となれば、会社から一方的に雇用関係を終了させることはできなくなりますから、正社員と同じような定年制を検討する必要が出てくるでしょう。
また、私傷病によるケガや病気で長期間にわたり欠勤するような場合に休職規定を作成しておく必要がありそうです。
休職の規定は、対象者を休ませるという意味と、復帰できない場合に退職として扱うという役割を持っています。
雇用期間を定めない契約を結ぶ以上は、会社のリスクを考えて規定を作成する必要があります。

1-2.その他に、無期転換後の労働条件等で検討することは

・賞与・退職金(正社員と同じか否か)
・転勤、配置転換(有りか無しか)
・職務内容(今まで通りでよいのか、正社員や有期雇用職員と一緒でよいのか)
・昇給(有りか無しか)
・特別休暇(有りか無しか)
・健康診断(社会保険加入の職員は法令上必要だがそれ以外の職員に実施するか)
・退職金制度(有りか無しか)
・手当
・長期勤続表彰(有りか無しか) などとなります。

1-3.定年後の特例について

最後に、正社員として雇用していたものが定年となりその後嘱託社員として勤務した場合の特例について説明していきます。
この場合は、定年をすでに過ぎているわけですから、定年の規定は適用となりません。
すると、従業員が辞めるといわない限り雇用する義務が発生してしまします。
これまで1つの会社で長期間働き、知識もノウハウもあり働いてくれるということは、良い面も多分にあると思いますが、体力的なことや健康面では心配なことも増えてくると思います。
このように、定年後嘱託社員として有期契約を結び5年経過した方については、下記の続きを踏むことにより無期転換申し込みの対象外とすることができます。
その手続きは、次の2点です。

・適切な雇用管理に関する計画を作成(第二種計画認定・変更申請書)
・都道府県労働局長の認定を受ける(3月までに認定を受けるには1月中に申請する必要がある)※他県の場合の例

また、労働条件通知書の契約期間の欄に
「無期転換申込権が発生しない期間・定年後引き続いて雇用されている期間」を追加して記載することも忘れずに行ってください。

というわけで、今回は無期転換制度について説明しました。
もうすぐと迫った無期転換申し込みについて理解できたでしょうか?