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同一労働同一賃金に関する最高裁の判決(長澤運輸事件)

2018.6.1最高裁

裁判の内容および経過

定年退職後の再雇用で賃金を大幅に下げられたのは不当だとして、運送会社の嘱託社員の運転手3人が正社員の賃金との差額を支払うよう会社に求めた訴訟

一審の地裁の判決(平成 28 年 5 月)では、「再雇用制度を賃金コスト圧縮手段に用いるのは正当ではない」と判断。

二審の高裁の判決(同年 11 月)では、「賃下げは社会的に容認されている」と指摘し、正当と判断(運転 手側逆転敗訴)となり、今回の判決が注目を集めました。

最高裁の判決は

今回の最高裁の判決では、正社員と非正規社員の賃金格差が不合理かどうかは、「賃金総額の比較のみではなく、 賃金項目の趣旨を個別に考慮すべき」とする判断を示しました。

その上で、精勤手当については「相違は不合理である」 と支払いを命じたが、その他の基本給や大半の手当については、3 人に近く年金が支給される事情などを踏まえ、 格差は「不合理ではない」として請求を退けた(精勤手当に連動する超勤手当については、事実関係を精査するた め高裁に差し戻し)

つまり、再雇用後に給与等が下がったのは、世間的にも容認されてるし許される範囲でしょうということ
これにより、再雇用時に20%程度給与総額が下がるのは、認められる可能性が高くなったわけですが、さまざまなケースを考えて判断されるものであるからすべて認められるわけではないことに注意してください。

今回は、原告が敗訴となりましたが、全く同じ条件で仕事を行っていれば、賃金だけを下げることは不合理に当たりますので、賃金とともに労働条件も注意して整備を行い、働く人も気持ちよく働ける環境づくりを行っていただきたいと思います。