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【コロナ特例】雇用調整助成金の何が変わった?

※2010年4月13日時点の内容で説明しています。今後、内容が変わる場合がありますので、最新の情報をチェックして進めてください。今回は、中小企業の内容で説明いたします。

今回は、事業の縮小等でスタッフを休業させる場合に利用可能な助成金(雇用調整助成金)のうち、2010年4月から適用される特例措置の内容について説明しています。

コロナウイルス感染症の拡大によって、次々に新たな措置が打ち出されておりますが、厚生労働省からも新たなガイドブックやQ&Aが打ち出されたところで、ようやく内容が明らかとなりましたので、確認してみてください。

厚生労働省発表の資料については、下記をご覧ください。

「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ雇用調整助成金の特例を拡充します」[PDF形式:1.02MB]

「雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和2年4月13日現在」[PDF形式:1.07MB]

雇用調整助成金ガイドブック(令和2年3月1日現在版)[PDF形式:4.24MB]

 

対象となる事業主は?

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、会社を休業せざるをえない場合に利用可能な助成金が、「雇用調整助成金」というものです。

この助成金は、あまり利用されることは少なく、かつてはリーマンショックの時に多く利用された助成金でもあります。

リーマンショック時も、通常の助成金ではない「特例」が用意されましたが、今回も「特例措置」が実施されています。

対象となる事業主は、次の通りです。

通常の「雇用調整助成金」は、売り上げが下がり事業の縮小を行わざるを得ない場合に限られていますが、
今回のコロナ特例では、広くコロナウイルス感染症の影響を受けて売り上げが下がった場合に適用されています。

その他の、内容の拡充等については、以降で説明していきます。

コロナ特例6つのポイント

まず、今回のコロナ特例で変わったポイントは次の6つです。

少し分かり難いところを解説すると、


上記の内容については、そもそも判定基礎期間が理解できていないと難しいかもしれません。

判定基礎期間の説明については、ガイドブック(詳細版)において以下のように記載されています。


休業を開始した日から1年間を「対象期間」を呼び、さらにその期間を1ヶ月ごとに区切った期間対象基礎期間と言います。助成金を申請するときは、、この判定基礎期間ごとに申請を行っていきます。ただし、3ヶ月まではまとめて申請可能です。

というところで、

・1/24からこの判定基礎期間までに解雇等がないこと

・判定基礎期間の末日においての労働者数が、1/24からの月平均の労働者数を比べて4/5以上であること

という条件をクリアしている必要があります。

その他にも、

自宅でのインターネット等を使った教育訓練も対象となったこと

雇用保険に加入して6カ月未満の方についても対象になったこと

・助成金を受けられる日数が、100日から緊急対応期間(4/1~6/30)においては、全部支給対象になったこと

雇用保険に入っていない方も対象となったこと(こちらは、「緊急雇用安定助成金」という名称となりました。)

と大きく拡充されました。

要件緩和が実施されます

内容も拡充されましたが、受給のための要件も緩和されました。この助成金を受けやすくなったわけです。

これまで支給対象外だった場合でも、当てはまる可能性があります。ここでは、生産指標の比較がポイントです。

2010年3月以前と4月以降では、要件が異なります。
4月以降は、要件が大幅に緩和され、使いやすくなっています。

売上等が下がっていることが要件となっていますが、4月からは、売上等が5%以上下がった場合に対象となり、さらに3ヶ月の売上でなく1ヶ月の売上で見ることになりました。

生産指標の要件を満たすかどうかは、最初に計画届を提出した日の前月で見ます。
ここがポイントです。

毎月下がっていなくても、3月・4月・5月の1月でも5%以上下がっていれば、要件を満たせます。
計画届を提出する日によって、どの月の生産指標を比較するか変わってきますのでご注意ください。

また、設立から1年以内の会社でも対象になります。その場合は、前年の12月の生産指標と比較を行います。

さらに、1か月のうち、休業日数が少ない場合でも助成金の対象となりました。
従業員2人の会社において、月に20日の所定労働日数の会社であれば、2人のうちいずれか1人が1日休業となれば、対象となります。

事後提出が可能

雇用調整助成金は、通常、休業させる前に事前の計画届を提出する必要がありました。

今回のコロナ特例では、計画届の事後提出が認められています。

よって、既に休業を出している事業所も遡って対象となります。

事後提出の場合は、令和2年6月30日までの提出となることにご注意ください。

一日のうち、一部だけ休業するという場合においても、3月以前は一部休業の時間は、そのほかのスタッフが就業していないことが条件でしたが、4月以降は、その条件もなくなりました。

残業があった場合についても、3月以前は、残業分を助成金から差し引いて支給されることとなっていましたが、4月以降は、残業があった場合についても助成金の金額が減額されることはありません。

具体的な活用例です。

まとめると、
4/1~6/30の期間においては、助成額もアップし、受給するための要件も大幅に緩和されています。

支給までの流れを簡単に示したのが、上記の図です。

通常は、事業が縮小した場合に、休業計画を届出て、その後休業に入る必要がありましたが、コロナ特例においては、既に休業に入った場合についても、事後申請が可能で、休業開始後、労使協定(休業協定)の締結、計画届の提出でも助成金の受給を受けることができます。

最後に

今回は、コロナ特例で変わったことを中心に解説しました。
今回説明できなかったことも含め、近日中に、全体的な解説を行う予定です。

急を要する方については、お問い合わせください。