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通勤時に事故にあってしまったら労災が使えますか?


通勤中に事故にある方は、多くはないと思いますが多くの人が集まる会社においては、ゼロということはないと思います。
従業員が通勤中に交通事故にあってしまった時、どうしたらよいのか考えてみてください。

今回取り上げるのは、通勤中(朝でも夕方でも)の自動車同士の事故の時です。
朝、会社に電話が入ってきたとします。相手は、所属している従業員の一人
「今、交通事故にあってしまって警察を呼んでいます。」
そんなとき、従業員にどのようなアドバイスができるでしょう?
この記事は、下記について解説しています。

1-1.通勤時の交通事故で使える保険は全部で3種類
1-2.給付される保険は保険の種類によって違いがある
1-3.相手が自動車保険に入っていない場合の対処法

通勤時の交通事故で使える保険は全部で3種類

まずは、本人が無事か相手にけがはないかといったことでしょう。
ケガがあれば、とりあえず病院に行くことが先決です。

今回は、よくある後ろから追突されてしまった場合を例に考えていきます。

後ろから追突された場合、その時痛みがなくてもまずは、病院に行くように勧めましょう。

外傷がある場合は、外科のある病院がいいですね。
外傷がなくても、頸椎などが後になって痛み出すこともありますから、整形外科を受診するのが望ましいです。

そこで問題になるのが、病院で使用する保険です。

ここで、病院にかかる際に使える可能性のある保険が3種類あります。

それは、

健康保険

(相手の)自動車保険

労災保険

普段は、健康保険証を提示して保険給付を受けますが、今回のような場合は健康保険証は使いません。
相手の自動車保険か労災保険のいずれかです。
では、このうちどちらを使用するようアドバイスしたらよいでしょうか?

 

給付される保険は保険の種類によって違いがある

健康保険や自動車保険、労災保険は、それぞれ保険給付の種類が違っています。
制度が違いますから、どのような場合に保険給付されるのかそれぞれに決まりがあるのです。

先ほどは、自動車保険か労災保険かどちらかということを申しましたが、
このような場合、通常選択すべきなのは相手の自動車保険です。
それは、会社の労災保険を使わせるのがいやだからという理由ではありません。

通勤時の事故の場合は、労災を使用しても会社の保険料がその後上がってしまうということはありません。
これは、会社の問題ではないからで、会社側からすれば防ぎようのないことであり、これについては過失を問われないからです。

では、なぜ自動車保険を使用するのがよいかというと、
自動車保険の方が保険給付される種類が多いからです。
通常ケガした場合は、請求することのない慰謝料は、労災保険では補償されませんが自動車保険は保険給付されます。
また、会社に診断書を提出しなければならないようなときは、診断書料がかかります。

この診断書料も労災の保険では補償されません。

この慰謝料と診断書料が保険給付されなければ、自分で費用を負担しなければなりません。
ですから、この場合は相手の自動車保険を使って病院にかかるのが正解というわけです。

 

相手が自動車保険に入っていない場合は

このような事態はなかなか想定できませんが、相手が保険に入っていない場合は、どうでしょうか?

相手が、保険が切れたままで運転をしていて事故を起こされたら、自動車保険を使うことができません。
相手に直接、治療費を支払うよう求めてもいいですが、このような状況で自ら相手に交渉し、治療費を払わせることは大変でしょう。
ましてや、相手は保険料を払わないで運転をしていたような人ですから

そのような時は、労災保険を使うことを考えてください。
労災保険は、慰謝料と診断書料は出ませんが、治療に要した費用は全額補償されます。
診断書が必要なものでなければ、従業員には診断書はもらわなくてもよいと言ってあげましょう。
診断書は各病院で費用は違いますが、交通事故の診断書料は比較的高いです。

労災から保険給付を受けるには、事故にあった従業員は会社に事実を報告して、あとで労災の書類を病院に提出するだけです。
病院の治療費は、政府が相手に損害賠償請求をします。
本人や会社が相手と示談交渉をすることはありません。

このように、損害賠償の請求権を第三者である政府が取得することを、求償というふうに言います。
「政府は損害賠償の請求権を求償する」というように言います。

最後は少し専門的な用語が入ってきましたが、ご理解いただけたでしょうか?
急な事故にも適切にアドバイスできれば、従業員も迷わずに行動できるでしょう
是非、ご参考に