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介護報酬改正情報を確認(特別養護老人ホーム)
来年度以降の介護報酬改定の中身が出そろいましたね。
皆様の施設は、この内容を見てどのような戦略を考えていますか?
ここですべてを解説するのは難しいですが、一部のサービスについてみていくことにしたいともいます。
今回取り上げるのは、介護老人福祉施設です。
それでは、見ていくことにします。
1-1.改正情報(全体)
1-2.追加された加算
1-2-1.配置医師緊急時対応加算
1-2-2.夜勤配置加算の見直し
1-2-3.看取り介護加算の見直し
1-2-4.その他の加算
1-1.改正情報(全体)
まずは、全体としてはプラスの改定です。3年前の前回は実質のマイナス改定となり、昨年は介護事業者数の倒産が過去最高となるなど苦しい経営を強いられた事業者も多いかともいます。
介護老人福祉施設については、現在は収支差率があまり高くなく、当初よりあまり下がることはないだろうと見られていましたが、プラスの改定でまとまったことは老人ホームを運営する事業者にとってはほっとしたというところではないでしょうか。
まず、基本報酬が全体的にアップしています。
単位数は以下の通りとなります。(1部)
介護福祉施設サービス費(従来型個室)
要介護1 557単位(+10単位)
要介護2 625単位(+11単位)
要介護3 695単位(+13単位)
要介護4 763単位(+14単位)
要介護5 829単位(+15単位)
ユニット型介護福祉施設サービス費(ユニット型個室)
要介護1 636単位(+11単位)
要介護2 703単位(+12単位)
要介護3 776単位(+14単位)
要介護4 843単位(+15単位)
要介護5 910単位(+16単位)
1-2.追加された加算
ここからは、加算についてです。
医療との連携、医療体制の充実が重点的に評価されているところであります。
1-2-1.配置医師緊急時対応加算
施設の配置医師が施設の求めに応じ早朝・夜間・深夜に施設を訪問し入所者の診療をしたときに算定できる「配置医師緊急時対応加算」です。
加算単位数は早朝・夜間が1日650単位、深夜が1300単位となります。
これには、配置医師との連携協力が欠かせません。
要件としては、
・配置医師と連携体制ができていること
・配置医師が24時間の対応を行ってくれること
・事前届け出を行っていること
・看護体制Ⅱを取得していること
・診療記録を残しておくこと
となっています。まずは、前提として看護体制Ⅱの取得が必要となります。看護体制Ⅱは体制基準の+1の看護職員の配置が必要でしたね。
正看護師でなくても准看護師でも要件は満たすことができます。
これにより、また看護職員の需要が増す事と思われます。
経営者の方にとっては頭が痛いところかもしれませんが、この後説明する看取りとともに医療体制の充実が重要になっています。
1-2-2.夜勤配置加算の見直し
次に従来からあった夜勤職員配置加算に新しい区分が登場します。
今の要件に加え夜間に看護職員の配置又は喀痰吸引ができる介護職員の配置が要件となっています。
現在さかんに喀痰吸引の研修が行われていますが、受験できる職員がいる施設は研修の受講を検討してみたらよいでしょうね。
1-2-3.看取り介護加算の見直し
これまでは看取りの加算は1区分しかありませんでしたが、ⅠとⅡの二つに分かれます。
充実した医療体制を整えることで、看取りの死亡日、前日、前々日がそれぞれ加算単位数が増えます。
3日間合計すると500単位となります。
ここでも、医療体制の充実が要件となってきます。
要件は、配置医師緊急時対応加算の要件のほぼすべてを満たすことです。
配置医との24時間の連携体制、加算の事前届け出、看護体制Ⅱの取得が必要です。
1-2-4.その他の加算
このほかには、外泊時に在宅サービスを利用した時に、介護老人福祉施設により提供される在宅サービスを利用した場合、1箇月に6日を限度として所定単位数に変えて1日につき560単位を算定するというものです。
障害者の生活支援についても、現在の障害者支援体制加算の要件が緩和され、小規模施設でも算定がしやすくなっています。
ということで、今回は介護老人福祉施設での2018年介護報酬改定の情報をお知らせしました。
今回の改正では、医療体制の充実がカギとなりそうですね。
噂されていたアウトカム評価は見送りとなりました。
しかし、通所介護などではアウトカム評価が導入され、今後はこのような流れになっていくことも予想されます。