Pocket

電子申請の義務化

私たちの知らないところで、電子化の動きは始まっています。
まだ、よくわからないという方のためにこれまでの動きを確認してみましょう。

最初は、日本再興戦略2016(2016年6月)において、「生産性向上を強烈に後押しする」という方向性が示されます。
官邸:日本再興戦略2016(案)

これを受けて、規制改革実施計画(2017年6月9日)では、行政手続きに要する事業者の作業時間を平成32年までに20%削減するという目標を掲げました。
内閣府:規制改革実施計画

そこで厚生労働省から出されたのが、「行政手続コスト削減のための基本計画」(2017年6月)です。
厚生労働省:行政手続きの簡素化

その後、さらなる改定が加えられ、上記の基本計画が改定(2018年3月)となり、ここで電子申請義務化が明確に示されたわけです。

電子申請といっても様々な電子申請がありますから、様々なところで話し合われているわけです。
最終的には、行政と企業の行うすべての手続きをプラットフォーム化して簡単で利用しやすくするということですが、

今回は、企業が行う労働保険(雇用保険・労働保険料の徴収に関する法律)社会保険(健康保険・厚生年金保険)に関することに絞って電子申請の義務化について説明いたします。

 

社会保険関係の電子申請義務化について

平成30年12月28日に通達が出されています。

厚生労働省:「健康保険法施行規則及び厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令の交付について」

というものです。

この省令に記載されている内容を見ていきます。


 

義務化の対象となる手続きは?対象となる企業とは?

 

今回、電子申請義務化となる手続きは、次のとおりとなっています。

健康保険

・賞与支払届

・被保険者報酬月額算定基礎届

・健康保険被保険者報酬月額変更届

厚生年金保険

・賞与支払届

・被保険者報酬月額算定基礎届

・厚生年金被保険者報酬月額変更届

・70歳被保険者の算定基礎・月額報酬変更・賞与支払届

対象となる企業

今回対象となるのは、特定企業と呼ばれる規模の大きな企業となります。
省令によると、以下の要件に当てはまるところとなります。

資本金、出資金等の額が1億円を超える法人

相互会社

投資法人

特定目的会社

いつから始まるの?

施行は、平成32年4月1日です。
この前に年号が変わるので、

令和2年4月1日から

となります。

雇用保険保険の電子申請義務化について

ここからは、雇用保険と労働保険料の徴収に関する法律の手続についての内容です。

こちらは、官報に示されていますが、
(官報の内容は、非常にわかり難いので以下で解説します。興味のある方はリンクをどうぞ)


官報 平成31年3月8日 号外 第44号

雇用保険法施行規則の一部を改正する省令
(平成31年厚生労働省令第19号)
https://kanpou.npb.go.jp/20190308/20190308g00044/20190308g000440040f.html

労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則及び
厚生労働省関係石綿による健康被害の救済に関する
法律施行規則の一部を改正する省令
(平成31年厚生労働省令第20号)
https://kanpou.npb.go.jp/20190308/20190308g00044/20190308g000440080f.html


以下の資料は、厚生労働省から公表されている省令案です。
最終的には、労働政策審議会で以下の内容について、妥当との回答が示されたことで、労働保険においても電子申請の義務化がまとまりました。

対象となる手続(雇用保険)

数の多い手続は、すべて電子申請の対象です。

・雇用保険被保険者資格取得届

・雇用保険被保険者資格喪失届

・雇用保険被保険者転勤届

・高年齢者雇用継続給付基本給付金の支給申請手続

・育児休業給付金の支給申請手続

対象企業は?

こちらも社会保険と同様です。

労働保険の保険料の徴収等に関する電子申請の義務化について

最後は、労働保険料の徴収等に関する手続きです。

こちらも、厚生労働省から公表されている資料があります。

厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_02644.html

こちらも、雇用保険と同様に労働政策審議会の審議を経て「妥当である」との回答が示されています。
雇用保険と同様に、平成31年3月8日に官報で発表されています。

対象手続

・概算保険料申告書

・増加概算保険料申告書

・確定保険料申告書

・石綿健康被害救済法一般拠出金申告書

対象企業は、社会保険および雇用保険と同様です。

今後の対策

大企業に当てはまる事業所は、なるべく早めに電子申請の導入を検討した方がよさそうです。
電子申請の方法については、当サイトでも詳しく説明しています。

電子申請(e-Gov)を始める前に準備しなければならない6つのステップ

10分でできるe-Gov電子申請の手順をマスター

これから電子申請を始めるのであれば、API方式による電子申請をお勧めします。
API方式のメリットは、操作手順が分かりやすく、申請後の進捗管理や電子公文書のダウンロードも簡単に行えることです。

API方式をご検討の場合は、下記の記事をご参考に

外部連携対応API対応クラウドサービス4社を徹底比較

今回対象とならない企業でも、政府の方針を考えると順次電子化となることが考えられますので、検討してみてはどうでしょうか?

最後に

いかがだったでしょうか?というわけで

社会保険においては、平成30年12月に 労働保険においては平成31年3月に手続の義務化について公表されました。

今後は、各企業で電子申請の導入について本格的に検討しなければならない状況となりました。

電子申請を取り巻く状況も依然と比べ、発展を遂げていますので、導入に向けては環境が整っています。

詳しく、説明してほしいという方は、是非お問い合わせください。