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育児休業給付金の制度と手続きについて

今回は、育児休業期間中の手続きについてです。
育児休業は、本人が休むといえばいつまででも取ることはできませんが、一般的には子供が1歳の誕生日を迎えるまでです。
なぜかというと、育児休業による給付金をもらえる期間が基本的にはそこまでで終了だからです。

産前産後休業の時は、休業中の保証が健康保険の制度から支給されますが、育児休業期間中は雇用保険の制度から給付金が支給されます。
正式には育児休業給付金といいます。

1-1.育児休業の期間
1-2.休業開始時賃金証明書とは

1-1.育児休業の期間

支給を受けるには要件を満たす必要がありますが、育児休業を開始した日前2年間(最長4年間)に12ヶ月以上雇用保険加入期間(みなし保険者期間という)があることです。

育児休業は、育休を開始した日から1カ月ごとに区分した期間を支給単位期間とよび、支給を受けるためには支給単位期間の初日から起算して4カ月を経過する日の属する月の末日までに初回の申請をすることになっています。

少し難しい言い回しですけど、

「育休開始の翌月から4か月以内だな」

と覚えておくといいのではないかと思います。

また、後に説明する休業開始時賃金証明書は、育児休業給付金の初回申請の前でも手続きできますので、

先にこの手続き(休業開始時賃金証明書のこと)をしておけば、初回の申請期間がいつからいつまでなのか記載された、申請書をハローワークで発行してくれます。
それならば、申請期間を間違えてしまったということはなくなると思います。

ということで、慣れない場合は、初回申請を待たずに後に説明する「休業開始時賃金証明書」だけもらっておきましょう。

1-2.休業開始時賃金証明書とは

休業開始時賃金証明書とは、退職の際にもらう離職票のようなもので、休業開始前にどのくらい雇用保険の期間があり、賃金額がいくらなのかを証明したものです。

ここで証明したものをもとに育児休業中の給付金の額が決まってきます。

支給額は育休開始から180日までは育休開始時賃金日額の67%が支給されます。

それ以降は50%の支給率です。

この支給率も以前より上がっていますので、育児休業が取りやすくなっていると言えそうです。

この育児休業の給付金の手続きはすべて事業主の行う手続きです。

そして、申請は2か月おきに育児休業が終了するまで続きます。

支給単位期間が終了するたびに、出勤簿と賃金台帳を出力して申請書を書いてハローワークに赴くことになるわけですから、簡単ではありません。
ハローワークが近くになかったり、混んでいて処理に時間がかかったりすることもあります。

まれに、「給付金が入っていないんですけど?」と育休中の従業員から問い合わせがあったりと手間がかかると思います。
育児休業給付金はもらう方にとっては、給与みたいなものですから、お金が入るのを

「いつ入るんだろう」と心配をしている方も少なくありませんから、担当になった方は申請期間になったらできるだけ早く申請をしてあげてください。

この手続きも電子申請を行えば比較的すぐに行うことが出来ますから、電子申請はおすすめできます。

育児休業の期間が延長になっているので注意

平成29年10月より育児休業期間の延長が2歳までとなっていますので、ご注意ください。
以前は、保育園に入れないなどの理由により期間が1歳6ヵ月まで延長が認められていましたが、延長期間が長くなっています。

そこで注意点なのですが、保育園に預けられなかったからといって、それだけでは延長ができません。
延長をするためには、保育園等に入園の申請をしてその結果入園できなかった場合というように決められているからです。

そのときは、必ず入園ができない旨の証明書の発行を受けてください。(様式はありませんので、内容が分かる書類ならば結構です。)

添付書類の内容については以下のような内容で通達が出ています。

引用元: ※ハローワークから

ア 「市町村が発行した保育所等の入所保留の通知書など当面保育所等において保育が行われない 事実を証明することができる書類」
イ 「世帯全員について記載された住民票の写し及び母子健康手帳」、 「保育を予定していた配偶者の状態についての医師の診断書等」など

アについては、保育園等の理由で入園できなかった場合、イについては配偶者(夫)が養育する予定だったが、病気・負傷等で養育できなくなってしまった場合となります。

最後の一番大切なことですが、延長が認められるためには、

子供が1歳になる前に、入園の申し込みをしておくこと

保育園によっては、入園申込期間が決まっていて、4月からの入園をいつからいつまでに申し込んでください。という決まりがあるかと思うのですが、
それを待って申し込んでしまうと、子供がすでに1歳を過ぎていて延長が認められなくなります。

これは、子供が1歳6ヵ月を迎えるときも同様で、1歳6ヵ月を迎える前に入園の申請をして証明を受ける必要があります。

このあたりは、まだ制度が開始されたばかりで知らない人が多いので、育休に入ったときにでも、従業員様によくお伝えしてもらいたい事項です。