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簡素化された雇用調整助成金の申請方法
今回は、雇用調整助成金の申請についてまとめました。
コロナウイルス感染症の拡大に伴い、緩和措置が発令されたことは、前回の記事でご説明しました。
【コロナ特例】雇用調整助成金の何が変わった?
では、実際にこの特例期間(2010年4月1~6月30日)に係る助成金申請についてどうやって進めればよいのか?といった疑問にお答えします。
本来の雇用調整助成金の進め方
まずは、提出書類が何なのか?を知ることは重要です。
今回の特例措置により、大幅に手続きが簡素化されております。
内容を理解するために、本来の雇用調整助成金の提出書類についてみていただき、本来の者と比べてどのように変わったのかをお伝えしようと思います。
本来の雇用調整金助成金の解説は、ガイドブックに記載されています。
雇用調整助成金ガイドブック(令和2年3月1日現在版)[PDF形式:4.24MB]
ガイドブックの23ページからは、提出書類について記載されています。
雇用調整助成金は、本来、計画届を事前提出して、その後、休業手当を支払い休業をさせ、計画期間が終了したら、申請書を提出するという流れになっています。
以下の図の通りです。
今般の特例措置により、計画届の事後提出が可能となったので、すでに休業に入ってしまっている場合も、事後に計画届を提出すれば、遡って受給の対象となります。
必要書類は、以下の通りです。
計画時の提出書類
いくつも書類を作成する必要があります。具体的には、用意されている様式に加え、添付書類が必要です。
・休業の計画期間や対象人数を記載する計画届(様式第1号(1))
対象期間は1年間とし、判定基礎期間は、1ヵ月ごとに区切った期間で賃金計算期間と同じとなります。(変形労働時間制の場合は、期間の初日からの1か月)
・事業活動が縮小していることを示す申出書(様式第1号(2))
・雇用している人数を示す申出書(様式第1号(4))
・日ごとの休業・教育訓練計画の一覧表(残業時間も記載する)
・休業協定書(教育訓練も実施する場合は、教育訓練協定書も)と労働者代表選任書、委任状(過半数の署名が必要)
労働基準法上は、平均賃金の60%以上の休業手当を支払うことが定められています。
これより、多い休業手当を支払うことは問題ありません。
特に、特例期間においては、助成率が上乗せされていることから、労使で交渉の上、決定してください。
・登記簿謄本、生産指標を示す書類(試算表、損益計算書、総勘定元帳など)、就業規則、賃金規定など
申請時の提出書類
計画時の提出書類を提出し、休業を実施したら、申請を行います。
申請は、賃金計算期間(判定機関)が終了して、2か月以内に行う必要があります。
(計画届を事後提出する場合においては、最初の期間分については、計画届提出から2か月以内なら提出可能です。)
申請時の提出書類は、以下の通りです。
支給申請書
支給申請書には、実績を記入します。
助成金算定書(様式第5号(2))
(1)(2)の欄については、前年度の労働保険料の確定申告の際に提出した数字を記載してください。
記載すると分かりますが、雇用調整助成金の金額は、すべての雇用保険加入者に支払った賃金総額を被保険者の平均人数で割った金額が基礎額になります。(5)の平均賃金額
この平均賃金額に会社で支払った休業手当の支給率を掛けて、その金額に対して助成されます。(特例期間は最大で90%)
実際に支払った休業手当の金額に対し、助成されるものではないことにご注意ください。
・休業・教育訓練実績一覧表
実施した休業、および教育訓練について日ごとに記載する書類です。
支給要件申立書
こちらの様式は、助成金申請の際の共通様式です。
必ず最新のものを利用してください。上記のものは、3月以前の様式です。
労働保険料に関する書類
前年の労働保険料の申告の際に、提出した書類です。労働保険料の申告書
休業・教育訓練を確認できる書類
出勤簿・タイムカードなどの書類です。
シフト制などをとっている場合は、シフト表も添付する必要があります。
以上が、通常時の提出書類となります。
それでは、今回の特例期間についてどのような手続きとなるか見ていきましょう。
特例期間における手続きの簡素化
書式が新しくなりました。
新様式のダウンロードのページは下記の通りとなります。
「雇用調整助成金の様式ダウンロード(新型コロナウィルス感染症対策特例措置用)」
様式を変更し、記載項目を減らし、提出する書類の数も少なくなっています。
添付書類についても、簡素化がされています。
次からは、具体的に簡素化された書類についてみていきます。
特定期間における計画時必要書類
提出書類は以下のようになりました。
具体的に見ていくと、
まず、事後提出が可能であること。
生産指標に係る書類も、売り上げがわかる既存書類(すでにあるもので構わない)が可能となります。
様式の(3)(4)は、作成自体が不要となっています。
休業協定書(教育訓練協定書)は必要ですが、これに関しては、委任状が不要となりました。
以前は、労働者の過半数分の署名・捺印が必要だったため、大幅に軽減されると思います。
労働者代表選任届は必要なのでお忘れなく
上記の労働者代表選任届については、ひな型がありますので、都道府県労働局から出ているひな型をご利用ください。
事業所の状況に関する書類として登記簿謄本などが必要とされていましたが、これも不要になりました。
つづいて、申請時です。
特定期間における申請時の提出書類
提出時の書類については、以下のようになります。
様式が新様式となりました。(記載項目が減っています。)
特例期間については、残業相殺(残業があった場合に、助成金が減る)がなくなりましたので、残業時間の記載は不要です。
休業・教育訓練計画一覧表については、以下にように日ごとの記載が不要になりました。
賃金台帳についても、給与明細も認めるとのこと
手続の簡素化については、以上となります。
雇用調整助成金は、金額がかなり大きな額になることがありますので、どうしても申請手続きが煩雑になってしまうようです。
しかし、これでなんとか初めて助成金申請するという方にも、手続きを行っていただくことができるようになったのではないかと感じています。
ご質問、ご不明な点、およびご指摘などございましたら、問い合わせフォームからお問い合わせください。
最後に
いかがだったでしょうか?
「複雑すぎてわからない」「手続きが煩雑で自分じゃ申請できない」と言われていた雇用調整助成金ですが、特例につきこのように手続きが大幅に簡素化となりました。
この記事を参考にして、進めていただけたらと思います。
なお、今後も情報が更新される可能性もありますので、最新の情報を確認し、ハローワークへ確認の上、支給申請を行ってください。
この助成金によって、一人でも多くの事業主およびそこで働く方々が救われることを願っておりますが、書類の内容については責任をもって、正確な情報を記載するようにしてください。
ガイドブックの最後のページは、必ず確認してください。(怖がらせるようで申し訳ありませんが、後になって大変な目に合わないためにお伝えしておきます。)