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平成30年度 業務改善助成金の内容について
「業務改善助成金」をご存知でしょうか?
「業務改善助成金」は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援することで、事業場内最低賃金の引き上げを図るための制度です。
この助成金について説明しています。
当てはまる事業所様は、是非活用していただきたいと思います。
今回説明している内容は、以下の内容です。
1-1.助成金の概要
1-2.助成額
1-2-1.生産性要件を満たした場合の助成率について
1-3.お問い合わせ先
1-4.事例
1-4-1.従業員1~4人の飲食・販売業
1-4-2.従業員10~19人の飲食業
1-4-3.従業員10~19人のクリーニング業
1-4-4.従業員5~9人の共同浴場経営
1-4-5.まとめ
1-1.助成金の概要
事業場内最低賃金を一定額以上引き上げ、
設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などをおこなった場合に、費用の一部が助成されます。
設備投資については、決まったものはなく、要件に当てはまれば支給される可能性がありますので、使い勝手の良い助成金ではないでしょうか?
厚生労働省のパンフレットには以下の4つの例が示されています。
・飲食業における多機能付きレジスターの導入と従業員のIT研修による業務効率化
・飲食業における店舗改装による配膳時間の短縮と顧客の安全性・満足度・回転率の向上
・クリーニング業におけるPOSレジシステム導入による計算ミスの防止と待ち時間の短縮
・共同浴場経営における温泉加温ボイラー導入による作業負担軽減
以上のように、設備投資を行ったことにより
業務の効率化
安全性の向上
顧客満足度の向上
作業負担の軽減等
となった場合に、助成金が支給されます。
その際に、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げることが条件となっています。
この事業場内最低賃金を一定額以上引き上げるというところがポイントです。
このように、業務効率化のために設備投資を行った事業所のうち賃金引き上げを行った事業主に支給されます。
それでは、助成額を見ていきます。
1-2.助成額
助成額は以下の表のとおりとなっています。
事業場内制定賃金の引き上げ額 | 助成率 | 引き上げる労働者数 | 助成の上限額 | 助成対象事業場 |
---|---|---|---|---|
30円以上 | 70% | 1~3人 | 50万円 | 時給1000円未満 |
30円以上 | 70% | 4~6人 | 70万円 | 時給1000円未満 |
30円以上 | 70% | 7人以上 | 100万円 | 時給1000円未満 |
40円以上 | 70% | 1人以上 | 70万円 | 時給800~1000円未満 |
まず、原則として賃金の引き上げ額が30円以上となっていること
30円以上引き上げた場合と40円以上引き上げた場合では助成額が変わってきます。
また、賃金を引き上げる人数については3人までと4~6人、7人以上と分かれており人数が多いほど助成額は大きくなります。
最高額の100万円の助成金を受けるためには、30円以上の賃金引上げを7人以上に実施しないとなりません。
注意すべきところは、もともと時給の高い方については、対象になりません。
基本的には、時給1000円未満のところが対象です。
1-2-1.生産性要件について
生産性要件については、別に解説をしていますので、そちらで確認してみてください。
※生産性要件について
生産性要件を満たした場合は、助成率が70%から75%に上がります。
上限は決まっていますので、上限額に達していればその金額になりますが、生産性要件を満たしていれば有利になります。
1-3.お問い合わせ先
全国の各都道府県に働き方改革推進支援センターが設置されています。
助成金を申請する際は、こちらに確認しながら進めることをお勧めします。
こちらの助成金のパンフレットがホームページに公開されています。平成30年度業務改善助成金のご案内
”厚生労働省のページからダウンロード可能です。
1-4.設備投資の例が公開されています
助成金案内のパンフレット内で4つのケースに分けてどのような設備投資が対象になるのか示されています。
1-4-1.従業員1人~4人の飲食業・販売業の場合
小規模の飲食店・販売店を想定しています。
従来は・・・
一般的な電気店で購入可能な簡易的なレジを使っていたが、それでは集計作業や顧客情報を整理する機能がなく、別にそれらの情報を管理していた。
新たに・・・
集計作業や顧客情報を整理する機能付きのレジを導入
また、事業主はさらに提供メニューの充実を図るなどして収益を増やすことができると考えて導入を行った。
生産性向上は・・・
この設備投資によって、事務作業の短縮および従業員のスキルアップが図られサービスも向上、新規のお客さんも増え、業績が伸びたとのこと
結果的に・・・
1人の従業員の時給を40円引き上げることができた
ということで、このような場合は助成金の対象となる。
1-4-2.従業員が10~19人の飲食業の場合
従来は・・・
店のレイアウトがごちゃごちゃで、配膳がスムーズにいかず時間がかかってきた
新たに・・・
店舗の椅子やテーブルなどを購入し、店内レイアウトを変更し、配膳係が無駄な動きをしなくても料理を運べるようにした
事業主は、従業員に対する評価制度を作ったり、会議のやり方を変えるなどして従業員のモチベーション向上を図った
生産性向上は・・・
配膳にかかる時間が短縮し、回転率が向上、きめ細やかな接客が可能となり、顧客満足度が向上
結果的に・・・
3人のパート従業員の時給を平均110円引き上げ、さらに全パート従業員の時給も引き上げた。
ということで、助成金の対象となる
1-4-3.従業員が10~19人のクリーニング業
従来は・・・
計算ミスと長い待ち時間によって、時間及びお客さんへのサービスの質が落ちていた
新たに・・・
誰でも一貫した顧客対応が可能なPOSレジシステムを導入
生産性向上は・・・
ポイント算出にかかる時間を短縮とともに計算ミスがなくなり、顧客サービスが向上
待ち時間に対する不満や、間違えていた不必要なポイントの付与がなくなった
結果的に・・・
2人の従業員の時給を50円引き上げた
ということで、助成金の対象となる
1-4-4.従業員が5~9人の共同浴場経営
従来は・・・
少ない従業員で受付からお風呂の温度管理まで行っており、負担がかかっていた
新たに・・・
手元で温度管理を行うことのできる新しいタイプの加温ボイラーを導入
さらに、事業主も全体の状況を確認して、繁忙となっている業務への柔軟な人員配置をした。
生産性向上は・・・
手元で温度管理が行えることで、確認・調整にかかる負担が軽減し燃料費の削減にもつながった。
結果的に・・・
2人の従業員の時給を40円引き上げ、さらに管理部門を除く現場の全従業員の昇給を実施
ということで、助成金の対象となる
1-4-5.まとめると
生産性を向上させるために設備投資を行い、結果的に生産性が向上し、従業員の賃金(時給)を引き上げた場合に支給されるのだが、
設備投資を行っただけでなく、事業主自らが生産性向上及び従業員のやる気を高めるような政策を行っていることが事例に示されている。
また、数人の時給を引き上げれば対象という条件となっているが、そのほかの従業員についても賃金をアップさせていることが事例で示されており、
事業場全体の待遇を引き上げることを暗に示しているように受けて取れます。
設備投資とともに事業主が同時に行った改革および賃金を引き上げた従業員以外の待遇についても注意が必要です。